電気代はかせ >> 電気の仕組み・基礎知識 >> 静電誘導の原理と仕組み
静電誘導とは、プラス・マイナスの何れかの電極に帯電した物体を導体に近づけた際に、導体の帯電した物体側には、帯電した物体の逆の極性が引き付けられ、近づけた物体の逆側に物体と同極の電荷が生じる現象のことです。
例えばプラスとマイナスを全体に含む導体にプラスの電気を帯電したガラス棒を近づけると、導体のガラス棒に近い側の表面にはマイナスの電気が引き付けられ、反対側にはガラス棒と同極のプラスの電気が集まります。
静電誘導の原理は導体内部で起こる電子の流れを把握することで原理が理解できます。
プラスに帯電したガラス棒を導体へ近づけると、導体の内部ではプラスの電気に引き付けられたマイナスの電子が集まります。
これは導体内部では電子が自由に移動することが可能であるためです。
同様に、導体内部ではガラス棒と同極のプラスの電気がガラス棒と反発するように遠ざかろうと移動しはじめます。
その為、プラスに帯電したガラス棒を近づけた結果、導体内部では電気がプラスとマイナスの両極に分極される訳です。
この静電誘導の原理は大規模な事例で見ると自然現象として発生する落雷の原理にもあてはまります。
雷雲の中では、冷やされたたくさんの氷の粒が上昇気流にのり駆け上がり、駆け上がった氷は重力の重さで落下を繰り返します。
この上昇と下降が繰り返す際に、氷の粒は激しく衝突しあい大きな摩擦エネルギーを生み出します。
落雷の原因となる雷雲の内部では、この摩擦により巨大な静電気が生じプラスの電気が雷雲の上部に層を作り、雷雲の下部にあたる地上側にはマイナスの電気が帯電していきます。
雷雲は時間の経過とともに成長し、雷雲の下層部に帯電したマイナスの電気はどんどん大きくなり、やがて地球の地表面には雷雲のマイナスの電荷に引き付けられたプラスの電気が帯電し始めるようになります。
前述したガラス棒と導体の事例で言えば、導体に近づけていったガラス棒が雷雲、プラスの電気を帯電した雷雲に引き付けられてマイナスの電気が表面部分に引き寄せられた導体が地球ということになります。
雷雲内部で大きく成長したマイナスの電気と地球上表面に引き寄せられたプラスの電気の電位差があまりにも大きくなると、引き付け合うエネルギーがあまりにも大きくなり、やがて雲と地上の間の空気を伝って爆発的に大きな電流が地上へと放出されるようになります。
この爆発的に大きな電流こそが雷の正体なのです。
電気は本来、絶縁体である空気を伝って移動することはできません。
しかし、雷ではあまりにも大きな電位差が生じる為に、雷雲内部の電子が強引に地上まで蛇行しながら落下していくのです。
雷が1本の真っ直ぐに落下せずに木の枝のように分岐したり曲がったりしながら落下するのは、絶縁体である空気の中を強引に移動している為なのです。